Q1.0-X住宅について
高断熱化に当たって、全室温度差のないことを前提とした次世代省エネ基準の住宅と、高断熱化していない従来の個室暖房を前提とした住宅との暖房エネルギーを比較したところ、次世代省エネルギー住宅の方がIV、V地域では2倍の消費エネルギーになることがわかりました。
このまま、次世代省エネ型の住宅が建てられることには問題があります。
新住協では1つの目標として、高断熱化していない従来型住宅の半分の暖房エネルギーで、全室暖房が賄えるような高断熱住宅が必要であると考え、その住宅をQ1.0住宅という呼称を与え、実践してきました、IV、V地域では次世代省エネ型住宅の1/4の暖房エネルギーになります。
Q1.0住宅の考えを敷衍化し、より一層の省エネルギー化を目指すために、IV、V地域では先程の暖房エネルギー1/4を[Grade1]とし、1/6を[Grade2]、1/10を[Grade3]とし、[Grade4]の0は今後の実践を深めた上で必要かどうか検討することになりました。
III地域では次世代省エネ基準の水準が高いため下表の通りになりました。この断熱性能を持つ住宅を総称して「Q1.0−X住宅」としています。
この[Grade]の目安を付けるために、「住宅事業建築主の判断の基準」で採用されていた120m2のモデル住宅を参考にして、III、IV、V地域の代表的な地域の次世代省エネ基準における暖房エネルギーを平均化し、基準値としました。
その値から各Gradeの値を算出しています。また、この関西の地域区分に関しましては別表を参照してください。
表に示された暖房エネルギーを参考にしながら、どの[Grade]の断熱性能を選択するかを設定し、Qpex計算を使用しながら、断熱仕様、熱交換換気設備、開口部仕様等を調整しながら設計することになります。
住宅の断熱性能を決めるのにQ値ではなく、暖房エネルギーを使用しているのは、Q値というのは住宅の断熱性能を示す1つの指標にすぎないからです。
省エネルギー住宅を目指す場合、その住宅で暖房に消費されるエネルギーを如何に少なくするかです。
しかし、残念ながら、同じQ値の住宅でも、建物の向きや窓の大きさ、それに日射取得の具合によって暖房エネルギーは大きく異なってくるからです。
一概にQ値だけでは推し量れないのです。
また、逆に暖房エネルギーを1/4にするには断熱材を4倍にする必要はありません。
日射取得の工夫や熱交換器の利用を含めて上手に設計をすれば、コストを踏まえた上で、合理的な断熱性能の住宅が実現できます。
日本の代表地域 | 次世代住宅での暖房エネルギー(kwh/年) | 次世代住宅平均 (kwh/年) |
Grade1 (kwh/年) |
Grade2 (kwh/年) |
Grade3 (kwh/年) |
Grade4 (kwh/年) |
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次世代住宅平均の削減率 | 10/10 | 1/3 | 1/4 | 1/6 | 1/10 | |
III B | ||||||
長野 | 9,400 | 8,616 | 2,872 | 2,154 | 1,436 | 862 |
仙台 | 7,081 | |||||
郡山 | 8,310 | |||||
山形 | 10,353 | |||||
関西での該当地域 | (奈良)生駒市、平群町 | |||||
III C | ||||||
鶴岡 | 10,287 | 10,777 | 3,592 | 2,694 | 1,796 | 1,078 |
秋田 | 10,534 | |||||
青森 | 12,253 | |||||
関西での該当地域 | (和歌山)かつらぎ町の一部、高野町 (兵庫)養父市の一部、旧香住町 (奈良)旧都祁村、旧大塔村 | |||||
次世代住宅平均の削減率 | 10/10 | 1/4 | 1/6 | 1/10 | 0 | |
IVaA | ||||||
水戸 | 7,612 | 7,425 | 1,856 | 1,238 | 743 | 0 |
八王子 | 7,292 | |||||
前橋 | 7,187 | |||||
関西での該当地域 | (大阪)旧美原町 | |||||
IVaB | ||||||
中津川 | 9,415 | 9,341 | 2,335 | 1,557 | 934 | 0 |
福井 | 9,082 | |||||
福知山 | 9,360 | |||||
関西での該当地域 | (大阪)高槻市、八尾市、大東市、柏原市、羽曳野市、東大阪市 (兵庫)加東市、篠山市、相生市、三田市、西脇市(京都)亀岡市、城陽市、宇治田原 (奈良)奈良市、御所市 |
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IVaC | ||||||
舞鶴 | 9,242 | 10,324 | 2,581 | 1,721 | 1,032 | 0 |
新潟 | 10,172 | |||||
関西での該当地域 | (滋賀)長浜市、米原市、彦根市 (京都)綾部市、宮津市 (兵庫)養父市、豊岡市 (奈良)大和郡山市、天理市、橿原市 |
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IVbA | ||||||
横浜 | 4,925 | 5,858 | 1,465 | 976 | 586 | 0 |
名古屋 | 5,963 | |||||
練馬 | 6,042 | |||||
関西での該当地域 | (兵庫)神戸市、、尼崎市、明石市、西宮市、洲本市、芦屋市 | |||||
IVbB | ||||||
大阪 | 5,478 | 5,784 | 1,446 | 964 | 578 | 0 |
広島 | 5,562 | |||||
京都 | 6,619 | |||||
関西での該当地域 | (滋賀)大津市 (京都)宇治市、向日市 (大阪)岸和田市、豊中市、吹田市、泉大津市、枚方市、茨木市、 (兵庫)伊丹市、加古川市、赤穂市、宝塚市、高砂市、川西市、小野市、加西市 | |||||
IVbC | ||||||
金沢 | 8,512 | 8,376 | 2,094 | 1,396 | 838 | 0 |
鳥取 | 8,512 | |||||
関西での該当地域 | (京都)京丹後市、伊根町(兵庫)旧香住町(和歌山)旧美里町 | |||||
IVbC | ||||||
鹿児島 | 2,969 | 3,676 | 919 | 613 | 368 | 0 |
宮崎 | 3,059 | |||||
関西での該当地域 | (和歌山)御坊市、旧新宮市、白浜町、串本町、太地町 宮崎 |