Q1宣言
平成11年に省エネルギー基準にもとづく住宅の断熱基準(次世代省エネルギー基準)が制定され、次世代省エネルギー基準に基づく高断熱住宅が普及してまいりました。
しかし、高断熱住宅の良さというのは、居間から廊下へ移動しても温度差の少ない家であることが特徴です。
つまり、今までの住宅のように個室暖房ではなく、全室暖房を前提としなければなりません。
そのような前提で、関西などの断熱基準4地域での冬季の暖房消費量を計算しますと、次世代省エネルギー基準で建てた住宅でも、個室暖房の時より倍の暖房消費量であることがわかりました。
次世代省エネルギー基準の住宅が増えれば増える程、省エネルギーではなく、地球環境にとって逆にダメージを与える結果となってしまいます。
これは大きな問題です。
新住協ではこの問題に取り組むために、次世代省エネの暖房消費量の半分から1/4を目標に設定し、新たにQ1.0プロジェクトととして取り組むことにしました。
新住協のQ=1.0(キューワン)住宅を「一言」でいえば超省エネの高断熱住宅です。
例えば150㎡の一般的な住宅を次世代省エネ基準(Q値Ⅱ地域1.9W,Ⅲ地域2.4)レベルで建てたとします。
それをQ1住宅にすると、年間暖房エネルギーの灯油換算 盛岡では1350㍑→500㍑(床面積1㎡あたり3.3㍑) 仙台では1300㍑→280㍑(床面積1㎡あたり1.87㍑)と計算されます。
暖房エネルギーは1/2~1/4になります。
Q1,0(キューワン)住宅について
暖房エネルギーを1/4にするために、断熱を4倍にする必要はありません。
住宅内で暮らしていれば、人間も熱を出しますし、電気を使えばそれはすべて熱になります。
窓から太陽熱も入ってきますから、これら(内部取得熱)を住宅の熱損失から引いた分が必要な暖房エネルギーなのです。
住宅内が、ある温度の時の熱損失量と同じだけの熱を補給してやらないと、その温度を保つことができません。
内部取得熱が熱損失の20%あれば、残りの80%を暖房すればよいわけですから、暖房を1/4の20%にすると、熱損失は内部取得熱20%と併せて40%にすれば良いことになります。
つまり熱損失を60%減せば、良いことになります。
とは言っても、60%も減らすということは、半分以下にする必要があるわけですが、これを床・壁・天井の断熱材だけで考えるわけではありません。
窓や換気を減らすこともできますし、何より窓の設計によって、内部取得熱を増やすことができます。
太陽熱を増やすことは断熱材を増やすことと同じ効果があるわけです。
Q1.0住宅では、暖房エネルギーを削減するいろいろな手法をバランス良く、かつコストアップをできるだけ抑える手法で構成します。
むやみに、力任せに熱損失を減らすのではなく、太陽熱をうまく使って目的である暖房エネルギーを減らす構成を考えているのです。