1−1:気密層と気流止めの役割

昔の在来木造工法は、外壁内や間仕切り内部と床下・小屋裏が連続した空間となっており、床下や外から冷気が侵入し、室内の熱がどんどん逃げていく構造であった(図1)。
そして、このような構造では、室内をいくら暖房しても効果が得られなかった。

そこで室内側で極力このような隙間をふせぐため様々な工夫がなされた。
仮に図3のように住宅の室内側にひとつの大きな気密層を形成したとしても気流止めを施工しなければ、隙間風は防ぐことはできても決して暖かい住宅とはならない。
これは、断熱材が十分に機能していないことに起因する。
在来木造住宅で昔から多く用いられてきたグラスウールは、ガラス繊維の間に介在する空気の断熱効果により熱を伝えにくくしている。
図1や3のような壁の内部で気流が生じている構造では、その空気の移動に伴って壇ね材に含まれている空にの熱も移動し、そのため断熱性能は著しく低下してしまう。

また、床下空間は一般的に多湿になりやすく、気流とともに床下から湿気も移動してしまうため、これが壁体内の内部結露につながり、断熱材の断熱性能にも影響を及ぼす。
よって、気流が生じないように、外壁と床下、および間仕切り壁と床下、天井などの取り合い部では気流止めを設け、空間的に独立させることが必要となる。(図2)

このように、ただ単に隙間をふせぎ気密化すればよいというわけではなく、気密層と気流止めを一緒に用いることにより、はじめて断熱の効果が発揮できる。